研究内容

なぜ新しい合成方法?

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皆さんがこれまでに勉強してきた通り、有機化学には数多くの人名反応、合成反応 があります。もうこれ以上化学反応を見つけてどうするの?といった疑問を持つのは当然でしょう。 我々の生活を支えている現在の合成反応は、石炭・石油などの再生困難な炭素資源や、レアーメタルと呼ばれる希少金属資源に大きく依存しています。人類の持続的な発展の物質的基 盤を支えるには、従来型の合成反応のみでは心許ないのが現状です。有用物質の工業生産における省資源化、さらには新資源開拓にも新しい合成反応が不可欠であると同時に、新反応に よる新規機能性分子の創出が重要であると考えています。

どんな反応を?

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手に入りやすい簡単な分子から、複雑な構造の有用分子を作り出すことが有機合成化学の基本です。炭素と炭素をつないで有機分子の骨格を作る「炭素ー炭素結合生成反応」は、有機 分子を合成する上で最も重要な化学変換反応です。我々は「化学資源の活用」をキーワードに、新規の炭素ー炭素結合生成反応の開発を行っています。現在、地殻中に大量に存在し、かつ 地球上に遍在する普遍性の高い金属元素(マグネシウムやアルミニウム、亜鉛、鉄など)を、巧く利用した効率の良い、触媒的炭素―炭素結合生成反応の開発を強力に進めています(前頁 概念図)。例えば塩化アルキルの鉄触媒クロスカップリングを用いれば、汎用液晶分子の短段階合成が可能となります(下図)。今後は炭素資源の有効活用にも着目し、再生可能資源(bi orenewable炭素資源)を巧く利用した精密合成の開拓、その基盤となる有機反応の開発にも取り組んで行きます。

どんな方法で?

研究室&中村テーマ

“Toward the best synthesis for Better Society”をモットーとして, 有機分子変換化学の探究と,もの・こと造りへの応用(=有機合成化学の真髄の追究)を通して, より良い社会の実現に取組みます。これらの研究を通して,常識に囚われることなく新たな価値観を産み出すこと,それに挑戦することができる研究者を輩出します。

鉄触媒プロジェクト(高谷,磯崎,岩本)

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鉄触媒による次世代有機合成化学の開拓を行います。医薬品や農薬などの生理活性化合物,あるいは液晶や有機電子材料,機能性高分子材料の鍵化合物を合成します。 森林化学産業の実現のための木質バイオマスの制御分解合成手法(synthetic resolution)の開発を行います。

メタル化アミノ酸・ペプチドプロジェクト(高谷)

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金属錯体をアミノ酸やペプチドに導入することで,生体触媒である酵素では実現不可能な光・電子・磁気機能を付与することが可能です。現在,ルテニウムや鉄錯体を有するアミノ酸 およびペプチドを合成し,特異な反応性や選択性を示す「人工酵素」触媒の開発に取り組んでいます。とりわけ,木質バイオマスを基質とする精密木質分子変換反応の開発に注力しています。

金属ナノクラスタープロジェクト(磯崎)

金属クラスター

分子構造の明確な金属クラスターおよびナノ粒子を触媒活性中心として用い,従前の金属錯体触媒では不可能であった有機分子変換を実現します。現在,金クラスターや酸化鉄ナノ粒子上に 基質認識能を付与した機能性有機部位を導入した触媒を開発し,「光エネルギー利用」「木質バイオマス分子変換」を念頭においた酸化反応の開発に注力しています。

光触媒プロジェクト(岩本)

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天然に豊富に存在する一方で,高い安定性のためこれまで有効活用されてこなかった化合物に着目し,これらの新規分子変換法を開発することで,理想的な化学プロセスの構築を目指しています。 特に,光エネルギーを駆動力として,二酸化炭素や塩化ナトリウムを用いた反応開発を行っています。